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身体で思いを形にするワークショップblog

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「こうなってほしい!」「そのためには、今どうすればいい?」そんな思いを、「体で感じる」ことを重視しながら表現するワークショップの進行役(ファシリテーター) まつぞうのblog

怒りを、怒りではないかのように処理してから、伝える事(後編)

昨日書いた(前編)の続きです。



オブザーバーとして加わったエクササイズ、悪くはなかったものの、オブザーバーではなく、自分でもやりたかったなぁ・・・という思いが残ったのも事実。
体調が悪かった分、オブザーバーくらいがちょうど良かったのかも・・・という納得のしかたもできるものの、やはりスッキリしない。

エクササイズが終わって、みんな席に戻る。
僕も後ろの方のクッションに戻る。

「Hi~!」と、声を掛けてくる講師。今頃掛けてこられてもねぇ・・・という気がしてしまう。
やはり、僕は怒っている。
何とかしてほしかったと思っている。

このまま、自分の胸の中に思いをしまってしまうと、「この人、嫌い」という処理の仕方で終わってしまうだろう。
しかし、そうしたくないと思う。

この人はまだ教える側としては、経験が浅いはずだし、僕が、いやな思いをしたことを伝えることは、この人にとっても学びになるはずだ。
体調が悪い僕に対して声を掛けなかったのは、遠慮だったり、気遣いだったのかもしれない。非英語圏の出身の人だし、結構そういうところはあるような気がする。
今までこの人と接した経験からすると、かなりシャイなところがある人のような気がする。

・・・そういう風に相手の立場をおもんぱかると、やはり伝えた方がいいと思う。

しかし、怒りの抗議はしたくないと思う。
抗議をしようとすると、テロリストみたいな立場をとってしまって、相手を攻撃してしまい、そこから学んだとしても、関係自体も壊してしまう・・・みたいな個人的な歴史を繰り返しているから、ここは違うようにしてみたい。

伝えるべきは、怒りではなく、まずは、何が起こり、どう感じたか、それを思い出しながら伝えていこう。
そして相手の立場にも配慮をしながら伝える。
責めたいのではなく、同じことを繰り返さないでほしい、学んでほしいと願いながら、伝える。

・・・エクササイズの感想をクラスメイト達がシェアリングする中、1人、インナーワーク(自分の内面でのワーク/気持ちの整理)を続けた。
うまく伝えられる気がした。

みんなの前で伝える・・・という手もあるが、何となくうまくいかない気がして、授業終了を待つ。
授業終了。
タイミングを見計らって、伝える。

「最近、体調が悪くて、授業に集中できてなくてすみません。たまたま、あなたの担当になってからの3日間、体調が悪くなってしまったんです。
今日のエクササイズも、体調が悪いし、参加しようか、このまま寝てしまおうか、迷ってました。やっぱり参加しようと思って、パートナーを探したんですけど、どうもみんなパートナーを見つけてしまったみたいで、取り残された感じがして、しかもその時あなたは部屋にいなくて、どうしようかと思ってました。
『デモンストレーションをした2人は、ファシリテーターなどとして加わったりしてね』とあなたが言ってたのを思い出して、そのうちの1人のところに行ったら、『どうしても、この2人でエクササイズしたいからゴメンね』と、断られてしまいました。」

・・・この辺で、思い出して、涙出てきました・・・

「他のペアのところに行ったら、オブザーバーとして加われたんでよかったですけど、出来ればこういうことのないように、パートナーを決める段階で一声掛けてほしかったと思います。なんとなく、僕に声を掛けるのに、ためらいがあるような気がしたんですけど、どうでしたか?」

「ごめんなさいね。声を掛けたら、プレッシャーを掛けてしまうような気がして、声を掛けないでいたんだけど、声を掛けた方がよかったわね。」

・・・なるほど、やっぱり、そういうためらいがあったのね。

「そうだったんですね。何か声を掛けない理由があるような気がしていました。けれども、やっぱり声を掛けてほしかったです。体調が悪い中で、立ち上がって、『パートナーがまだ見つかってないんだけど・・・』って探し回るのはなかなか大変ですから。
できれば、今後こういうことがなくて済むように、伝えておこうと思いました」

「伝えてくれてありがとう。今後はそういうことがないように、気をつけるわ」

・・・詳しくはもう覚えていませんが、大体こんな会話をしたと思います。

僕は涙を浮かべながら話してるし、はた目に見たら、「何か、深い、『いい話』をしてるのかなぁ・・・」という感じで、「抗議」には見えなかったと思います。

いやぁ、実にすがすがしい「抗議」ができました。

前編に書いた「怒りの黒帯保持者」に一歩近づけたような気がします。

今後、怒りを感じても、いつも今回のようにうまく表現できるかどうかは分かりませんが、今回の経験を活かして、じっくり自分の中で整理してから伝えられるようになると思います。

とっても大きな経験でした。
by matsuzoh2002 | 2007-03-15 14:07 | 大学院(紛争緩和・修士課程)

by matsuzoh2002