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身体で思いを形にするワークショップblog

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「こうなってほしい!」「そのためには、今どうすればいい?」そんな思いを、「体で感じる」ことを重視しながら表現するワークショップの進行役(ファシリテーター) まつぞうのblog

厳しい現実を引っくり返す。でも切ない ・・・映画「堕天使のパスポート」

magicalさんのお薦めで観てみましたが、面白かった。
magicalさんありがとう。

「スパニッシュ・アパートメント」「アメリ」に続いて、オドレー・トトゥ3連発。

3つ並べてみるとなかなか興味深いなぁ・・・と思った。

舞台はそれぞれ、バルセロナ(ただしオドレー・トトゥはパリにいる)―パリ―ロンドン。

「スパニッシュ・・・」はEU内の外国人(主に留学生)の物語。
経済的・社会的に地位の安定している留学生だし(そうでない人もいるだろうが)、「厳しい現実」というのは、そんなに出てこない。

「アメリ」はパリの中で完結した物語。
一部の批評家が、「移民がきれいに排除された復古的、右寄りの映画」と批判した・・・なんていうことがあったようで、確かにフランスの白人ばっかり出てくる。
かと言って、恵まれた人たちばっかりというわけではなく、むしろ逆だけど・・・。

そして「堕天使のパスポート」。
主役が不法滞在者と難民。もろ厳しい現実。

オドレイ・トトゥはトルコ人難民。
映画観ただけではわからなかったが、公式HPを見たら、「おそらくクルド人」・・・とのこと。
なるほど。
トルコ人難民ならおそらくクルド人だろう・・・というのは、わかる人には分かるのだろうな。
トルコではクルドの文化は全く認められておらず、同化が強いられているとか。そのあたりがトルコのEU加盟にはネックになっているらしい。

難民には毎週生活費も支給される・・・というのも公式HP情報だが、「25歳以上の単身者は£38.26」とか。
オドレイの役=シャナイは22歳だから少し額は違うかも知れんけど、38ポンドって今のレートで1週間8400円・・・。家賃は無料らしいけど、きついよなぁ!

6ヶ月間は働いちゃいけないし、誰かを同居させてもダメらしい。
シャナイは働いてるし、同居させてるのが、移民局にバレて、どんどん窮地に。

その同居させてもらってるもう1人の主人公は、ナイジェリア人不法滞在者の男性。
彼も、他にもいろいろあって、どんどん窮地に。

・・・レンタル屋では「ラブ・ストーリー」のコーナーに置いてあったけど、置く棚違う気がする。
2人の間にラブストーリーがないこともないけれど、どっちかっていうと、かなりサスペンスタッチ。

そして描かれる、重くて、エグい現実。
生き延びるためには、ホントはしたくないことも選択せざるをえない、厳しさ。
見てて切なくなったわ。

「あぁ、そこまでいってしまうのか・・・」というところまでいくのだけれど・・・うまいこと引っくり返してくれる。

観終わりは、切ないけれども、重くはなかった。

脚本がうまいと思った。
アカデミー脚本賞ノミネートも納得。

そこまで映さんでもええやろ・・・っていう、ホントにエグい場面もあったなぁ。

前にも書いたような気がしますが、「どこかに所属する」ということが苦手だったりするせいか、移民とか、文化のはざまで生きる人には、とても共感するところがある。

この物語もそういう部分に惹かれたし、興味深いところでもあった。
同時に彼らの置かれている境遇は、重く、切ない。そういう部分がしっかり描かれてるような気がする。

おすすめです。
by matsuzoh2002 | 2006-08-27 14:36 | 見た映画

by matsuzoh2002