ユダヤ人のサバイバルを、コミカルに ・・・映画「僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ」
15年ぶりに見た映画。
最近、この頃に見た映画を見直すことが多いのだけれど、やはり、当時よかったと思ったものは、今見てもいい!(゜∀゜)
3月にもブログで取り上げていて、見たい機運が高まっていて、ようやく見れた。
ドイツとソ連の戦争の真っただ中に巻き込まれ、右往左往しながら、サバイバルした少年の物語。
でも、過酷な運命の中で、どこかコミカルな描き方。
その辺りが、重くなりすぎない後味になる。好きだなぁ。こういう描き方。
最初に見たのは、カナダで英語字幕。実はよくわかっていない部分も多々あった。
特に冒頭の大事な部分を実はよくわかってなかった。後で、なんとなく想像したが・・・。
<以下、ネタバレですが、そもそもDVDも出ていないので、レンタル屋で探さない限り見るのも困難!>映画について詳しくはこちら
冒頭、主人公の生まれて間もない時の、「割礼」の儀式から始まる。
ユダヤ教の伝統なのですな。知らなかった。
というわけで、15年前はこれを見逃していたのですが、実はここがポイントだった。
割礼したちんちんは、ユダヤ人を「見える」存在にしてしまう。
生き残るために、主人公は、それを隠そうと必死だった。
やたら主人公が裸になるシーンが多い。
日本ではもれなくボカシ(*_*)
ちんちんこそが、ある意味「主人公」なのに。
カナダで観れたのは、そういう意味でもラッキーだったな。もちろん、ボカシなし。
主人公の少年はユダヤ人。
物語のはじめにはドイツ在住だが、ヒトラーの政策で、家に投石される。
少年は昼間っから風呂に入っていたが、あわてて素っ裸で外に逃げ出し、ドラム缶みたいなもの中に逃げ込む。
裸のままで、様子を見ながら待っていた少年は、近所の女の子に見つかる。
「裸だから外に出れないんだ」
女の子は、その辺においてあった服を渡してくれた。
その服を着て少年は、心配する家族の待つ家に帰る。
その服が・・・ナチスの軍服!
なんちゅう皮肉!コミカルだけど笑えないよ!
そんな展開が続く。
危険を感じて、一家は東へ逃げる。ポーランドへ。
西へ逃げたら、また展開は違っただろう。
ポーランドにもドイツの侵攻し、危険が迫る。
両親は、子どもたちだけでも・・・と、主人公と兄をさらに東へ逃がすが、主人公は兄とはぐれ、1人になってしまう。
しかもそのタイミングで、ソ連もポーランドに侵攻。
ポーランドは消滅。
ポーランド人は、あえてソ連側に行く事はないと、西にとどまるが、主人公は、そのまま東へ。
そして共産主義の教育を受ける。
そこではユダヤ教は否定されるが、主人公は人間としての存在は否定されない。
ユダヤ教にこだわる子どもたちは、あからさまに冷たい仕打ちを受ける中、「要領のいい」主人公は、共産主義を受け入れる。女教官からも寵愛される。
主人公は、ラッキーなことに、どこへ行ってもモテるのだ。
しかし、ドイツの侵攻で、ソ連領だったエリアが、ドイツ領へと変わる。
主人公は、東へ逃げる子どもたちの群れから離れてしまい、ドイツ軍の取調べを受ける。
そこで主人公は、見てしまう。
ある男が、ユダヤ人だと疑われ、「アルメニア人だ」と主張したが、「なら見せてもらおうか」とパンツを脱がされ、「ほら割礼してるじゃないか」と見破られるのを。
恐怖を感じながら、主人公はイチかバチか「僕は『純粋ドイツ人』の孤児としてロシア語で教育を受けた」と名乗り出る。
それが通って、通訳として従軍することになる。
割礼してるのをバレないように、立ちションするのにも気を使う。
仲良くなった人に、割礼してるのがバレてしまう。
・・・が、彼は差別しない人だった。
主人公はとことんラッキーだ。
ところが前線で仲良くなった彼が死ぬ。
受け入れてくれる友を亡くし、「もう隠し続けながら生きるのは、イヤだ」・・・と、主人公はソ連軍への投降を決意。
塹壕内の内戦電話でソ連軍に投降の意志を通告した上で、銃を両手で上に掲げて、無防備を示しながら、相手陣地へ向かう。
ところがところが・・・
その瞬間に照明弾が上がり、ソ連兵たちが降伏。
主人公は、「勇気ある行動を取った」と英雄扱い。
前線から、エリート養成の寄宿生の学校へと移る。
3月にもブログで取り上げた骨格を調べれば、ユダヤ人は見分けられるという授業が出てくるのもこの学校だ。
戦闘の危険はないが、ルームメイトがいたり、トイレやらシャワーやら、人目に触れて割礼がバレる危険性は高い。
割礼済みのちんちんを、元に戻そうと、ひもで縛ったりする。
もちろん、そんな痛々しい努力もむなしく、元に戻るはずはない。
しかも、モテる主人公は、ブロンドの可愛い女の子といい仲になるのであーる。
とっても積極的な女の子は、主人公に関係を迫る。
普通なら喜んで応じるところだが、主人公はどれだけ熱いキスをしても、そこから先には進めない。
あぁ、なんて、切なくもったいない・・・。ホントに可愛い子なのだが。
しかし、そんな可愛い子が、たまたま通りかかったユダヤ人の荒れ果てた墓地で、主人公が、多少ユダヤ人に同情的なことを言うと、その娘はキッパリ「私は同情なんかしないで殺すわ」みたいなことを言う。
可愛い顔して・・・(ジュリー・デルピー。今も綺麗だが、当時はホント可愛い!)
怖いよ~。恐ろしい時代だ。
やがて、その娘の妊娠が判明。
ヒトラーが「純粋ドイツ人の子孫を増やすのだ!」的なことを言っていたのに感化されて、主人公がしてくれないのに業を煮やし、主人公のルームメイトとやっちまった。
そこまでするかぁ・・・。
妊娠の話を聞かせてくれたのは、その娘の母親。
主人公がユダヤ人なのも最初から薄々感ずいていて、主人公がそうだと打ち明けても、優しく受け止めてくれる。
もともと平和裏に共存できてたんだから、そういう人も当然いるんだよね。
サバイバルのために、ナチスのど真ん中に身を置いてしまっていた主人公だが、やはり隠すのがつらくなってきた。
エリート学校から前線へと再び送り込まれるが、もう相手を攻撃できない。
そして再び、投降。
しかし、ソ連は、もう、そう簡単に受け入れてくれない。
ドイツのユダヤ人虐殺の写真を見せて、「こんなひどいことをしやがって。スパイだろ。」とまったく信用する気がない。
他の捕虜に銃を渡して、主人公を撃たそうとする。
そこへ、主人公を呼ぶ声が。
兄だ。
そして一緒に立ちションする2人。同胞の安心感。
主人公は、兄とともに、イスラエルへ移住して暮らしているという。
*
・・・長いストーリーだけど、自分でも覚えておきたいし、かなり細かく書いた。
時代の荒波にもまれて、右往左往、波乱万丈、壮絶な歴史の一こまだ。
前の記事で書いた、ワールドワークで耳にしたストーリーと重なって、よりリアルに感じられる。
イスラエルは新たな火種を生んでしまってるわけで、ハッピーエンドと言い切れないものも感じるし、すべてが終わった時代のことではない。
埋もれさすにはもったいないよ!DVD発売希望~。
最近、この頃に見た映画を見直すことが多いのだけれど、やはり、当時よかったと思ったものは、今見てもいい!(゜∀゜)
3月にもブログで取り上げていて、見たい機運が高まっていて、ようやく見れた。
ドイツとソ連の戦争の真っただ中に巻き込まれ、右往左往しながら、サバイバルした少年の物語。
でも、過酷な運命の中で、どこかコミカルな描き方。
その辺りが、重くなりすぎない後味になる。好きだなぁ。こういう描き方。
最初に見たのは、カナダで英語字幕。実はよくわかっていない部分も多々あった。
特に冒頭の大事な部分を実はよくわかってなかった。後で、なんとなく想像したが・・・。
<以下、ネタバレですが、そもそもDVDも出ていないので、レンタル屋で探さない限り見るのも困難!>映画について詳しくはこちら
冒頭、主人公の生まれて間もない時の、「割礼」の儀式から始まる。
ユダヤ教の伝統なのですな。知らなかった。
というわけで、15年前はこれを見逃していたのですが、実はここがポイントだった。
割礼したちんちんは、ユダヤ人を「見える」存在にしてしまう。
生き残るために、主人公は、それを隠そうと必死だった。
やたら主人公が裸になるシーンが多い。
日本ではもれなくボカシ(*_*)
ちんちんこそが、ある意味「主人公」なのに。
カナダで観れたのは、そういう意味でもラッキーだったな。もちろん、ボカシなし。
主人公の少年はユダヤ人。
物語のはじめにはドイツ在住だが、ヒトラーの政策で、家に投石される。
少年は昼間っから風呂に入っていたが、あわてて素っ裸で外に逃げ出し、ドラム缶みたいなもの中に逃げ込む。
裸のままで、様子を見ながら待っていた少年は、近所の女の子に見つかる。
「裸だから外に出れないんだ」
女の子は、その辺においてあった服を渡してくれた。
その服を着て少年は、心配する家族の待つ家に帰る。
その服が・・・ナチスの軍服!
なんちゅう皮肉!コミカルだけど笑えないよ!
そんな展開が続く。
危険を感じて、一家は東へ逃げる。ポーランドへ。
西へ逃げたら、また展開は違っただろう。
ポーランドにもドイツの侵攻し、危険が迫る。
両親は、子どもたちだけでも・・・と、主人公と兄をさらに東へ逃がすが、主人公は兄とはぐれ、1人になってしまう。
しかもそのタイミングで、ソ連もポーランドに侵攻。
ポーランドは消滅。
ポーランド人は、あえてソ連側に行く事はないと、西にとどまるが、主人公は、そのまま東へ。
そして共産主義の教育を受ける。
そこではユダヤ教は否定されるが、主人公は人間としての存在は否定されない。
ユダヤ教にこだわる子どもたちは、あからさまに冷たい仕打ちを受ける中、「要領のいい」主人公は、共産主義を受け入れる。女教官からも寵愛される。
主人公は、ラッキーなことに、どこへ行ってもモテるのだ。
しかし、ドイツの侵攻で、ソ連領だったエリアが、ドイツ領へと変わる。
主人公は、東へ逃げる子どもたちの群れから離れてしまい、ドイツ軍の取調べを受ける。
そこで主人公は、見てしまう。
ある男が、ユダヤ人だと疑われ、「アルメニア人だ」と主張したが、「なら見せてもらおうか」とパンツを脱がされ、「ほら割礼してるじゃないか」と見破られるのを。
恐怖を感じながら、主人公はイチかバチか「僕は『純粋ドイツ人』の孤児としてロシア語で教育を受けた」と名乗り出る。
それが通って、通訳として従軍することになる。
割礼してるのをバレないように、立ちションするのにも気を使う。
仲良くなった人に、割礼してるのがバレてしまう。
・・・が、彼は差別しない人だった。
主人公はとことんラッキーだ。
ところが前線で仲良くなった彼が死ぬ。
受け入れてくれる友を亡くし、「もう隠し続けながら生きるのは、イヤだ」・・・と、主人公はソ連軍への投降を決意。
塹壕内の内戦電話でソ連軍に投降の意志を通告した上で、銃を両手で上に掲げて、無防備を示しながら、相手陣地へ向かう。
ところがところが・・・
その瞬間に照明弾が上がり、ソ連兵たちが降伏。
主人公は、「勇気ある行動を取った」と英雄扱い。
前線から、エリート養成の寄宿生の学校へと移る。
3月にもブログで取り上げた骨格を調べれば、ユダヤ人は見分けられるという授業が出てくるのもこの学校だ。
戦闘の危険はないが、ルームメイトがいたり、トイレやらシャワーやら、人目に触れて割礼がバレる危険性は高い。
割礼済みのちんちんを、元に戻そうと、ひもで縛ったりする。
もちろん、そんな痛々しい努力もむなしく、元に戻るはずはない。
しかも、モテる主人公は、ブロンドの可愛い女の子といい仲になるのであーる。
とっても積極的な女の子は、主人公に関係を迫る。
普通なら喜んで応じるところだが、主人公はどれだけ熱いキスをしても、そこから先には進めない。
あぁ、なんて、切なくもったいない・・・。ホントに可愛い子なのだが。
しかし、そんな可愛い子が、たまたま通りかかったユダヤ人の荒れ果てた墓地で、主人公が、多少ユダヤ人に同情的なことを言うと、その娘はキッパリ「私は同情なんかしないで殺すわ」みたいなことを言う。
可愛い顔して・・・(ジュリー・デルピー。今も綺麗だが、当時はホント可愛い!)
怖いよ~。恐ろしい時代だ。
やがて、その娘の妊娠が判明。
ヒトラーが「純粋ドイツ人の子孫を増やすのだ!」的なことを言っていたのに感化されて、主人公がしてくれないのに業を煮やし、主人公のルームメイトとやっちまった。
そこまでするかぁ・・・。
妊娠の話を聞かせてくれたのは、その娘の母親。
主人公がユダヤ人なのも最初から薄々感ずいていて、主人公がそうだと打ち明けても、優しく受け止めてくれる。
もともと平和裏に共存できてたんだから、そういう人も当然いるんだよね。
サバイバルのために、ナチスのど真ん中に身を置いてしまっていた主人公だが、やはり隠すのがつらくなってきた。
エリート学校から前線へと再び送り込まれるが、もう相手を攻撃できない。
そして再び、投降。
しかし、ソ連は、もう、そう簡単に受け入れてくれない。
ドイツのユダヤ人虐殺の写真を見せて、「こんなひどいことをしやがって。スパイだろ。」とまったく信用する気がない。
他の捕虜に銃を渡して、主人公を撃たそうとする。
そこへ、主人公を呼ぶ声が。
兄だ。
そして一緒に立ちションする2人。同胞の安心感。
主人公は、兄とともに、イスラエルへ移住して暮らしているという。
*
・・・長いストーリーだけど、自分でも覚えておきたいし、かなり細かく書いた。
時代の荒波にもまれて、右往左往、波乱万丈、壮絶な歴史の一こまだ。
前の記事で書いた、ワールドワークで耳にしたストーリーと重なって、よりリアルに感じられる。
イスラエルは新たな火種を生んでしまってるわけで、ハッピーエンドと言い切れないものも感じるし、すべてが終わった時代のことではない。
埋もれさすにはもったいないよ!DVD発売希望~。
by matsuzoh2002
| 2006-06-04 02:29
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